【フィギュア塗装の教科書】「TPE・軟質素材」はこう塗れ!剥がれない最強プライマーとプロの技を徹底検証

「フィギュア塗装に挑戦したいけれど、素材が柔らかくて色が乗らない…」

「せっかく塗ったのに、関節を動かした瞬間にパリッと剥がれてしまった」

模型製作において、プラスチック(PS/ABS)の塗装は一般的ですが、ゴムやシリコンのような「軟質素材(TPEなど)」の塗装は、ベテランモデラーでも頭を抱える難題です。

今回、RAYWOODの実験室に現れたのは、WPLのRCカー用フィギュア、通称「ボブ」。
彼の身体は、消しゴムのように柔らかい「TPE(熱可塑性エラストマー)」で出来ています。

この記事では、この「難攻不落の要塞」と言われるTPE素材を相手に、数々の失敗を経てたどり着いた「剥がれない塗装の正解」を、プロの視点から徹底解説します。

1. なぜ「TPE(軟質素材)」の塗装は難しいのか?

近年、可動フィギュアやRCドライバー人形などに採用が増えている「TPE(熱可塑性エラストマー)」
ゴムのような弾力を持ち、ぐにゃりと曲がるのが特徴ですが、塗装に関しては以下の2つの大きな壁が立ちはだかります。

  • 塗料を弾く: 表面がヌルっとしており、プラスチック用塗料が食いつかない。
  • 塗膜が割れる・剥がれる: 素材が伸び縮みするため、乾燥して硬くなった塗料が追従できずに割れる、または皮のように剥がれる。

この「ボブ」も例外ではありませんでした。全身ピンクがかった肌色の塊を前に、私たちは実験を開始しました。

2. 【検証】有名な「軟質用塗料」が通用しない!?

軟質素材の塗装といえば、通常は「Vカラー(ソフビ用)」や「ウレヒーロー」といった、ゴムのように伸びる「追従性の高い塗料」が定石です。
しかし、今回のTPE素材に対しては、残酷な結果が突きつけられました。

❌ 追従性と密着性は「別物」

タミヤの「スーパープライマーサーフェイサー」や、強力な「ミッチャクロン」など、鉄板アイテムを試しましたが、どれも爪で擦ると簡単に剥がれてしまいます。
「塗料自体が柔らかくても(追従性)、素材の表面に食いついていなければ(密着性)、意味がない」ということです。

どんなに高性能なゴムのような塗料でも、接着剤のように下地に張り付いていなければ、関節を曲げた瞬間に「日焼けした皮」のようにペロリと剥がれてしまうのです。

3. 結論:TPE塗装の最適解は「ガイアノーツ」にあった

数多の失敗を経て、現時点で最も高い信頼度を示した「最適解」がついに見つかりました。

👑 最強の組み合わせ

「ガイアノーツ マルチプライマーアドバンス」

「ラッカー系塗料」

なぜこの組み合わせなのか?

多くのプライマーが弾かれる中、「ガイアノーツ マルチプライマーアドバンス」だけが、TPEの難解な表面を「塗料を受け入れる状態」へと強力に改質してくれました。

驚くべきは、このプライマーを下地に吹けば、上塗りは「通常のラッカー塗料(Mr.カラーなど)」で問題ないという点です。
プライマーがガッチリと土台を作ってくれるため、上塗りのラッカー塗料もしっかりと食いつき、多少の曲げ伸ばしにも耐える強靭な塗膜が完成しました。

4. 【実践編】ボブを2時間で「人間」にする塗装レシピ

塗装の正解が見えたところで、実際に「ピンクの塊」をリアルなドライバーへと変身させていきましょう。
所要時間は約2時間。エアブラシと筆塗りを駆使したプロの技法を紹介します。

  下地処理とプライマー(最重要)

まず、中性洗剤で表面の油分を完全に洗い流します。
乾燥後、「ガイアノーツ マルチプライマーアドバンス」をエアブラシで薄く、均一に吹き付けます。ここで厚塗りしすぎないのがコツです。

  ラッカー塗料によるベース塗装

プライマーが乾燥したら、エアブラシで肌の基本色を塗装します。
今回はラッカー系塗料を使用。単色で塗りつぶすのではなく、「シャドウ(影)」と「ハイライト(光)」を意識してグラデーションをかけることで、立体感が生まれます。

  エナメル・油彩での質感表現

ここからは筆塗りの出番です。

  • エナメル塗料: 服のシワや目元など、細かい部分の書き込みに。
  • 油彩(油絵具): 人肌の微妙な赤みや、泥汚れなどのウェザリングに。

異なる性質の塗料(ラッカー、エナメル、油彩、アクリル)を重ねることで、色が混ざり合わずに深みのある表現が可能になります。

5. プロが教える「剥がれ」を防ぐ最後の一工夫

最強のプライマーを見つけましたが、それでもTPEは動く素材です。
上塗りのラッカー塗膜は硬いため、無理な変形を加えると限界が来ます。

そこで、組み立て時には以下の「プロの隠し技」を使います。

🔧 関節のクリアランス(隙間)確保

塗装前、または組み立て前に、パーツ同士が干渉しそうな関節部分をあらかじめデザインナイフやヤスリで少し削っておきます。
これにより、動かした時の摩擦を減らし、塗膜へのダメージを物理的に回避します。

「密着性を信じつつも、完成後は優しく扱う」。これがTPEフィギュアと長く付き合うコツです。

6. まとめ:素材を攻略すれば、フィギュア塗装はもっと自由になる

今回の検証で、TPEフィギュア塗装の核心は「素材とのマッチング(密着性)」にあることが明確になりました。

  • 柔軟な塗料を選ぶのではない。
  • まずは「ガイアノーツ マルチプライマーアドバンス」で表面を攻略する。

この一点さえクリアすれば、あとは通常のプラモデルと同じように、自由な色で、自由な表現を楽しむことができます。

難攻不落に見えた「ボブ」も、適切な処理と2時間の塗装で、ここまでリアルな表情を見せてくれました。
あなたもぜひ、この方法で自分だけのオリジナルフィギュア制作に挑戦してみてください。

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