【塗料の種類はなぜこんなに多い?】- コジマ大隊長の基礎講座
こんにちはコジマ大隊長です。
今回は塗料の種類と特徴を整理して説明したいと思います。
皆さんはホビーショップの店頭に行った時に塗料コーナーをご覧になったことがあると思います。
色の数だけではなくラッカー系アクリル系など性質の異なる塗料がいっぱいあるので、どれを買ったらいいかわからないという経験はないでしょうか?
まず大雑把に説明すると塗料というのは
「顔料」や「染料」という色の成分と
「合成樹脂」という対象物表面に膜を形成する成分を
「溶剤」で溶いたものです。
この溶剤が一般に「有機溶剤」と表記されていますが・皆さんがよく見かける
ラッカー系、アクリル系、エナメル系はそれぞれ溶剤の種類が異なり、その溶剤で希釈された塗料の種別名称となります。
ではそれぞれの塗料の特徴をお話ししたいと思います。
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■ ラッカー系塗料
老舗GSIクレオスのMr.Hobbyというシリーズが国内市場の先駆者であり、現在でも最も数多くの色を販売している代表格、その市場に対してガイアノーツやタミヤも参入してホビー用塗料の最大派閥と言ってもいいかもしれません。
特徴
- 3社参入しているため色数が豊富
- 光沢が美しい(ツヤあり場合)
- 発色が綺麗
- 乾燥が早い
- 匂いが強い(刺激臭)
- 塗膜が強い
という特徴があります。後半の3つは強い溶剤を用いているため、匂いがキツく、揮発が早く、プラの表面への食いつきが強いという性質なので、特に関節が可動するキャラクターモデルではポーズの変更でガシガシ動かしても塗料が剥がれにくいためラッカー系を選択する理由となります。
光沢感や発色という仕上がりの美しさを求めるカーモデルなどもラッカー系以外はあまり選ばれないと思います。
逆に一部のジャンルを除いて筆塗りに用いられることは少ない傾向があります、これはツヤ感や発色を筆塗りで再現するのは難しく基本的にはエアブラシ塗装を前提とする場合がほとんどだと思います。
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■ アクリル系塗料
こちらは水性アクリルとも呼ばれる塗料です。
古くはタミヤとGSIクレオス(当時グンゼ産業)が1980年代に販売を開始した水性塗料です。
クレオスの水性ホビーカラーは最近原料の改定が行われて品質が向上したのも、アクリル系の躍進に一役買っていますね。
特徴
- 塗膜強度はラッカー系より劣る
- ツヤ、光沢感はラッカー系に劣る
- 乾燥時間がラッカーより遅い
- 水性を謳っているだけあって使った後の筆や用具を水洗いで洗浄できる
- 臭気が少ないので安全性が高い
- 筆塗りエアブラシ共に愛好するユーザーが多い
劣ると2回も書いていますがだからダメというわけではなくて、戦車などのAFV系、艦船模型など完成後に動かす必要のないジャンルでは別にデメリットにはなりませんし、テカテカのツヤが必要でも無いので特に問題になることはありません。
むしろ塗装してからわざと擦って剥がすと言ったウェザリングを施す時にはラッカー系で下地を塗った上からアクリル系で本体色を塗りそれを剥がすことで地金が露出した表現などができますので「塗膜強度が弱い」はむしろメリットになります。
また最近では墨入れにアクリル系塗料を使って、マジックリンで拭き取るという技も一般的になってきていて、後述のエナメル墨入れによるパーツ割れのリスク回避に有効な対策だと思います。
海外においてもラッカー系が規制される国が増えてきておりアクリル系のファレホやシタデルカラーなどが一般家庭ではよく用いられていると聞き及んでいます。
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■ エナメル系塗料
これは国内ではタミヤエナメルがスタンダードで他にはガイアノーツが数種類販売している塗料です。
特徴
- 筆塗りの時に伸びが良い
- 乾燥時間が遅い
- 光沢塗料は筆塗りでも光沢感が美しい
- 拭き取りが綺麗に行えるので修正しやすい
- 低臭気
- 塗膜はあまり強くない
エナメル塗料で全塗装するということはあまりないとは思いますが、実はとても綺麗に塗れる塗料です。
1/35のフィギュアのサングラスにエナメル系の黒を筆塗りするのが最もツヤが綺麗に出るということはあまり知られていないかもしれませんが機会があれば一度試してみてください、エナメル系を見直すチャンスになります。
乾燥が遅いという性質がツヤを綺麗に出す要因であるのと同時に、2色以上のグラデーションをかけるのにもそれぞれが乾燥する前に間を溶剤でなぞることで双方に色が浸潤するブレンディングという技法にも適していますが、最近主流のスナップフィット(接着剤を使わなくても組み立てられる)のキットなどでダボやポリキャップでテンションが強くかかっているパーツに対しては長時間溶剤にさらされているため割れることがあります(ソルベントクラック現象)
このため墨入れに使う時にはできるだけパーツを分解してテンションがかからないようにしてから塗る、あるいは純正溶剤ではなくジッポーオイルなどの揮発性の高い互換品を使って乾燥時間を早めるなどの対策が必要です。
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以上のような特徴を把握して作りたいキットに適したもの、目指す仕上がりに適した選択をすることが大事ですね。
最後に基本的にはそれぞれの塗料を混ぜて使うことはできません(ダマになってしまいます)ということと
塗り重ねる順序は強い塗料→弱い塗料の原則を守ることをお忘れなきよう。
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模型製作・ライター コジマ大隊長
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