【プラモデル】完成度が劇変!プロ直伝「スジボリ」5つの鉄則|失敗しないやり方と道具

プラモデル製作の醍醐味である「墨入れ」。
パーツの溝に塗料を流し込み、立体感を強調するこの工程で、こんな経験はありませんか?

「拭き取ったら線まで一緒に消えてしまった…」

その原因は、パーツに元から入っている溝(モールド)が浅すぎて、塗料が溜まる「器」がないことにあります。
これを解決するのが、溝を深く掘り直す「スジボリ」です。

「スジボリは上級者の技術」と身構える必要はありません。実は、初心者が直面する墨入れの失敗を物理的に解決するための、最も合理的で効果的なステップなのです。

今回は、プロモデラー・コジマ大隊長が教える、「スジボリの常識を覆す5つの真実」を紹介します。

鉄則1:力は一切不要。「掘る」のではなく「なぞる」

スジボリで最も大切なのは「掘ろう」としないことです。
プロの技術は、彫刻刀のように力を入れるのではなく、表面を優しく「撫でる」感覚に集約されます。

🔧 プロの持ち方と力加減
  • 持ち方: 鉛筆を持つように握り、人差し指をタングステンブレードの平らな上部に添えます。
  • 「道」を作る: 最初の一発目は力を入れず、表面を「スーッ」となぞります。この微細な傷が「刃の通り道(ガイド)」となり、脱線(オーバーラン)を防いでくれます。
  • 重みを利用する: 道具自体の重みに、ほんの少し手を添える程度の「ほんのり」とした感触で十分です。
「鉛筆持つようにこう持って…軽く、軽くね。最初は力入れずに『てーっ』と。」
(コジマ大隊長)

何度も繰り返しなぞることで、綺麗で深いラインが自然と完成します。

鉄則2:失敗は怖くない。瞬間接着剤による「魔法のリカバリー」

「一回でも線をはみ出したらキットが台無しになる…」
その恐怖心が、スジボリへの挑戦を阻んでいませんか?
しかし、スジボリのミスは驚くほど簡単に、物理的に消し去ることができます。

🪄 プロのリカバリー3ステップ
  1. 埋める
    オーバーランした箇所や、彫りすぎてしまった溝に「瞬間接着剤」をチョンと乗せます。
  2. 固める
    「硬化促進剤(プライマー)」を吹き付ければ、一瞬でカチカチに固まります。
  3. 磨く
    盛り上がった部分をヤスリで平らに研磨すれば、傷は跡形もなく消滅します。

このリカバリー術さえ知っていれば、「失敗してもやり直せばいい」という心理的な余裕が生まれ、より大胆なディテールアップに挑めるようになります。

鉄則3:セロテープと鉛筆で「左右対称」を作る論理的思考

RG(リアルグレード)のような精密なディテールを、何もない平らな面に追加するのはセンスではありません。「論理」です。
身近な「セロハンテープ」と「4B鉛筆」があれば、誰でも正確なガイドが作れます。

📏 左右対称ガイドの作り方
  • 下書き
    芯が柔らかく濃い「4B鉛筆」で、パーツに直接ラインを描きます。粉が多い4Bを使うのがコツです。
  • 転写
    描いたラインの上にセロテープを貼り、剥がすことで鉛筆の線をテープに転写します。
  • テンプレート化
    そのテープをプラ板や硬いテープに貼り、線に沿って切り抜けば「専用のテンプレート」が完成。
  • エッジ合わせ
    自作テンプレートをパーツの「端(エッジ)」に合わせて貼り付けます。

パーツの「端」を基準点にすることで、反対側のパーツでも全く同じ位置・角度にガイドを固定でき、確実な左右対称を実現できるのです。

鉄則4:線の「太さ」を使い分けると、巨大感が爆上がりする

スジボリの道具(タングステンブレードなど)には、0.15mmから1.0mmまで多様なサイズが存在します。
これらを戦略的に使い分けることで、ガンプラの「解像度」と「巨大感」は劇的に向上します。

 

0.15mm以下の「細い線」

装甲表面のパネルライン(継ぎ目)など、精密なディテール表現に。

0.5mm〜1.0mmの「太い線」

あえて太い刃を使うことで、「装甲の重なり」や「メンテナンスハッチ(扉)」を表現できます。
例えば、膝やスネの装甲を太い線で区切ってみてください。
「一つのパーツが複数のユニットで構成されている」ような別パーツ感が生まれ、メカとしての説得力が爆発的に高まります。

鉄則5:黒いパーツに黒はNG?「視認性」の逆転戦略

「墨入れは黒で行うもの」という固定観念は捨てましょう。
特に「ティターンズカラー(濃紺)」や黒いパーツに黒を流しても、せっかく掘ったディテールは闇に埋もれてしまいます。

  • 暗いパーツには「明るいグレー」: あえて明るい色を流し込み、コントラストをつけることで、ラインが明確な情報として認識されます。
  • 素材感の演出: 「ハルレッド(茶色)」などを使用すれば、オイル汚れや錆びた金属の風合いを出すことができます。
「誰が黒い色だって決めたんですか?視認性を高めるためにあえて明るめのグレーを入れる人もいます。」
(コジマ大隊長)

まとめ:スジボリとは、パーツに「物語」を刻むこと

スジボリは、単に線を引く作業ではありません。「掘る方向」一つで、パーツに物語を持たせることができます。
例えば、頭部のトサカ部分を特定の方向に掘れば「パーツが深くめり込んでいる」ように見え、逆に掘れば「カバーが上に乗っている」ように見せることが可能です。

掘る角度と方向を意識するだけで、プラスチックの塊は意思を持った「メカ」へと進化します。

  • 力を抜いてなぞる
  • ミスを恐れずリカバリーする
  • 太さと色を使い分ける

上達するための秘訣は、極めてシンプル。「ただ、掘ること」。
次に作るキットのどの部分に、あなただけの「新しい物語の線」を引いてみたいですか?